イギリスの金融行為監督機構は、国民に対し、ビットコインデリバティブプラットフォームの利用を避けるよう警告しました。対象プラットフォームは大手仮想通貨取引所BitMEXで、当局によると、同取引所はイギリス国内において、無許可でサービスの宣伝をしていると指摘しています。
イギリスの金融規制当局から警告がBitMEXへ警告
イギリスの金融監視機関であるFCA(Financial Conduct Authority)は、香港に拠点を構える大手仮想通貨取引所BitMEXのビットコインデリバティブ取引プラットフォームが、イギリス国民に対して違法に宣伝行為を行い、仮想通貨取引を許可していると警告を発表しました。
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FCAは、国民に対し、BitMEXには許可を与えていないため、サービスを提供する権限がないことを明かしています。
FCAは今月3日火曜、BitMEXは認可なしにイギリスで金融サービスまたは商品を提供しているととの声明は明らかにし、同社に対処する際、特に用心することを国民に警告し続けています。
イギリス国民に金融商品を提供する場合、企業側は、FCAに登録し、許可を得る必要がありますが、一部の企業は当局の許可なしにサービス提供に踏み切っており、一部の企業は投資詐欺を故意に実行していると当局は述べています。
なお、この警告の発表に対してBitMEXは現時点では何のコメントもしていません。
BitMEXでは、昨年6月に顧客アカウントへの不正アクセスが急増したことで、ユーザーへ注意喚起を促していたほか、同年11月にはメール機能のアップデートを実施した際、誤って大量のメールアドレスが漏洩していたことが発覚したばかりでした。
FCAはBitMEX に対して痛烈に批判
今回FCAがBitMEXへ警告すると同時に、当局はBitMEXがイギリス国民を積極的にターゲットにしていると痛烈に批判しています。
FCA登録企業はすべて、金融サービス登録簿に記載されており、BitMEXは登録済み事業者リストには含まれていません。
FCAに未登録の企業と取引を行うと、その国の金融オンブズマンサービスにアクセスできなくなり、オンブズマンサービスには、取引紛争を解決する権限があることから、何らかの問題が発生した場合でも、同機関を多様っての紛争解決はできなくなり、紛争処理において煩雑で時間のかかる解決を強いられることとなります。
FCAによる警告通知は、サンフランシスコに拠点を置く仮想通貨取引プラットフォームであるKrakenについても同様の警告を発していましたが、この警告が誤りであった事を警告の発行から数時間後に訂正し、警告リンクもすでに削除されています。
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なお、KrakenのCEOであるジェシー・パウエル(Jesse Powell)氏は、「FCAは間違いを犯し、それを修正しました」とメディアに語っています。
同氏は、Krakenを装った詐欺が報告されたようだとコメントし、 Krakenは、FCAに登録されたロンドンに拠点を置くビットコイン先物取引プラットフォームのCrypto Facilitiesを通じ、イギリス国内で合法的に運営されているとコメントしています。
BitMEXへの警告は、FCAが仮想通貨ビジネス向けの厳しい新しい一連のルールを発表してから2か月も経たないうちに下されており、今年 1月10日の時点で、規制機関は仮想通貨資産活動のためのマネーロンダリング防止とテロ対策資金調達の監視を強化させています。
当時の公式発表によると、FCAは、新たな規制へ企業側は順守し、これを積極的に監督し、企業が望ましい基準を満たせず、市場の完全性にリスクをもたらす場合は迅速に行動すると、厳しいい姿勢を表明していました。
BitMEXによるサービスはP2Pギャンブルなのか
BitMEXは、トレーダーが仮想通貨先物とスワップでお互いにポジションを取ることができるP2P取引プラットフォームで、同プラットフォームはビットコインのみで解決します。
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アーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏、ベン・デロ(Ben Delo)氏、サム・リード(Sam Reed)氏によって2014年に設立されたBitMEXは、企業規制が軽いことで知られるセイシェル諸島にて登録をし、世界一家賃が高いと言われる長江センター(長江集團中心:Cheung Kong Center)の45階に本社を構え、HDR Global Trading Limitedが所有および運営しています。
このプラットフォームは、ビットコイン永久スワップ製品で最大100倍のレバレッジを提供しており、ビットコインの価格のわずかな変動でも、全体的な損失につながる可能性があります。
ヘイズ氏はBitMEXの主要顧客である個人投資家を「退屈なギャンブラー」と冗談で呼んでいたことをメディアが報じています。
BitMEXの利用規約においてイギリスは制限国としてリストされていませんが、アメリカはリストされています。