シンガポール内国歳入庁(IRAS)が6日、仮想通貨購入に関連した税金の免除を実施する可能性があることを海外の複数メディアが報じました。IRASは仮想通貨関連税に関するガイドラインを作成しており、草案が通貨すれば来年1月1日から税の免除が施行されます。
シンガポールで二重課税を廃止する提案
シンガポール政府の発表によると、IRAS(Inland Revenue Authority of Singapore=内国歳入庁)が今月6日、GST(Goods and Services Tax=商品・物品サービス税/※日本の消費税にあたる)を免除するガイドラインの草案を発表しました。
今回発表されたGST免除のガイドライン草案では、仮想通貨購入に関する税金の免除を求めた内容となっており、この草案が通貨すれば2020年1月1日より税金免除が実施される予定です。
GST免除になったら何が変わるのか
実際、IRASの草案が法律を通過すれば、シンガポールでは何が変わるのでしょうか。
現在シンガポールでは、デジタル支払いトークンの供給は課税対象として扱われており、サービス提供となるトークン販売・発行・譲渡に対し、供給に対する課税と商品やサービスに対する課税の二重課税を支払わなくてはなりません。
今回の草案では、デジタル支払トークンと呼ばれるデジタル資産について、これら取扱い事業体をGSTから免除する。
つまり、このガイドラインが法律を通過すれば、シンガポールのGSTから仮想通貨が免除されます。
草案が採用されれば、デジタルPaymentトークンの特性をより良く反映させるために変更されるのは以下です。
(i)商品またはサービスの支払いとしてデジタル支払いトークンを使用することはできません。
それらのトークンを供給します。
(ii)フィアット通貨またはその他のデジタルのためのデジタル支払いトークンの交換で、この支払いトークンはGSTから免除されます。
IRASではこれらについてはあくまでも“草案”であり、財務省ではこの件に関する公開協議を行う予定があるとし、これらについての仮想通貨業界からのフィードバックを求めており、2019年7月26日までに附属書1のテンプレートにまとめて意見書の提出を求めています。
トークンの定義をあらためて確認
今回IRASが発表草案ガイドにはトークンの定義についての詳細な内容も記載されており、ガイドにまとめられた内容が以下です。
a)単位で表現されている。
b)代替可能である。
c)通貨で表示されておらず、発行者によってどの通貨にも固定(ペッグ)されていない。
d)電子的に転送、保管、取引ができる。
e)考慮事項としての使用に対する実質的な制限なしに、それは公衆によって受け入れられる交換媒体、または公衆の一部であり、対価として使用する制限はない、またはそのように意図している。
デジタルペイメントトークンの例としては具体的にBitcoin、Ethereum、Litecoin、Dash、Monero、Ripple、Zcash。と記載されています。
ここで注目しておかなければならない…が(C)の「発行者によってどの通貨にも固定(ペッグ)されていないもの」とあり、ペッグされていない、つまりフィアット通貨に連動しているデジタルトークン(=ステーブルコイン)に関してはデジタル支払いトークンとしては認められないと記載されている点です。
米ドル価値に固定されたステーブルコインは、デジタル支払いトークンとしては認められない代わりに、金融デリバティブサービスなどのリストには含まれる可能性があることを示唆しています。
このステーブルコインは含まれないという定義により、先月より各国が位置づけを議論しているFacebook社が発行するLibra(リブラ)についてもデジタル支払いトークンとしてみられないのではないかとメディアでも報じられてます。
もしかすると、世界に先駆けてLibraの位置づけがなされる国がシンガポールになるのかもしれません。
IRASは、仮想通貨に対するGST免除の取り組みについて、各国が仮想通貨利用の世界的発展と成長を遂げている事を受け、既存方針を見直したとしているほか、同庁もデジタル経済の発展に遅れないよう、物品サービス税の位置づけを見直したとコメントしています。
今から約2年前の2017年10月にオーストラリアでも仮想通貨購入時に課していたGSTを撤廃し、二重課税廃止法案が可決されています。
※参考サイト:
「IRAS e-Tax Guide (Draft)GST: Digital Payment Tokens (IRAS e-Taxガイド(草案)GST:デジタル支払トークン)」