韓国のソウル市で、独自仮想通貨“ソウルコイン”を発行する予定であることがメディアの報道によって分かりました。このソウルコインは同市初のブロックチェーンを使った行政サービスを展開する予定で、今年11月までにリリースを予定していると報じられています。
ソウル市が独自仮想通貨ソウルコインを発行予定
韓国・ソウル市が複数のブロックチェーンシステムを導入し、行政サービスに利用できる環境を整えていることが地元メディアの報道によって分かりました。
ソウル市では、今年11月までに3つの新サービス展開を予定しており、その中にはソウル市独自が発行する“ソウルコイン(S-coin)”の発行も含まれていると報じています。
今年中に提供される予定のサービスは以下の3つのサービスです。
■ソウルコイン(S-coin)の発行・流通
■非正規労働者の権利保障システム
■資格や身分証、IDなどの認証システム
ソウルコインはソウル市民へ付与される予定とされており、公共サービスの利用や報酬と交換が可能になる予定。
また、市民は税金の支払に利用できるよう環境が整えられるほか、世論調査などに協力下市民へコインが付与されるなど、独自の流通システムもすでに構想が出来上がっているとされています。
このソウルコインは、昨年12月にソウル市が推奨し、導入されたQRコード決済システム“ZeroPay”と統合される予定と報じています。
ソウル市ではスマートシティの構築を目指して環境整備が急ピッチで進められており、ソウルコインはその第一歩と言えそうです。
昨年S-coinのデモンストレーションを実施
※動画引用元:Mincircle「서울국제디지털페스티벌-Blockchain」
昨年10月27日から31日の5日間、ソウル政府が主催するBlockchain国際デジタル・フェスティバルがソウル市内で開催されていました。
このフェスティバルでソウル政府、韓国情報化振興院(NIA)、韓国選挙委員会の監督下のもと、ICONLOOPと多くの政府機関とのコラボレーションによって“次世代選挙システム”のデモンストレーションが実施されました。
市民はアプリをダウンロードし、ユーザー登録後、個人情報を入力して使用し、ユーザー認証にはQRコードが用いられています。
全ての環境をユーザー側が整えるとICON投票システムが使用可能になり、実際に投票ができるというもので、このデモンストレーションでS-coinが使用され、1S=1ウォンに設定されており、投票後には報酬としてS-coinが与えられる設定になっていました。
今回報道されたブロックチェーンを採用したソウル市によるサービスは、市によって管理されるものの、運営は一般の企業が実施する事になります。
今後ソウル市では、ブロックチェーンを利用した他のサービス展開も予定されており、現在判明しているサービスの中にはサービス開始時期は不明なものの、スマートヘルスケアや寄付管理、オンライン認証などにサービス展開が予定されています。
ソウル市が構想するスマートシティ
昨年10月、ソウル市の市長である朴 元淳(パク・ウォンスン)市長が、世界的なブロックチェーンのハブ計画構想を明らかにしており、国土交通省もカナダ企業と提携して交通データのブロックチェーン管理実験を開始させていました。
韓国ではすでに2兆円を超える巨額資金がソウル市のブロックチェーン構想へ投入されており、スイスのクリプトバレーを目指したものを構想しているとパク市長が明かしていました。
その構想には、世界のブロックチェーンのハブとなる年を目指すとされており、ブロックチェーンエコシステムを構築させていくとしています。
今回報じられたソウルコイン(S-coin)はこれら構想の一貫であり、今後ソウル市は厳しい韓国の規制を遵守しながら、どのような都市を作り上げていくのか、世界中から注目されています。
※参考サイト:blockinpress