ロシア国内で仮想通貨取引売を許可するかどうかについて議論されていたことが地元メディアによって報じられました。これまでロシアでは仮想通貨取引否定派であり、国としてデジタル通貨の発行を進めているとみられていただけに、市場関係者らも注目しています。
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ロシアが仮想通貨取引の合法化を検討
今月21日、ロシアの地元メディアInterfaxが、ロシア国内において、仮想通貨取引関連草案の作成の中で、売買を許可するかどうかについて議論が行われ、合法化するかどうかについて検討中であると副財務大臣のアレクセイ・モイセエフ(Alexei Moiseyev)氏がコメントし、大きく報じられました。
最終判断は下されていないものの、仮想通貨取引について、ロシア中央銀行とFBS(Federal Security Service of the Russian Federation=ロシア連邦保安庁)の両機関による話し合いの場がもたれた事を大きく報じています。
仮想通貨取引合法化について検討された背景には、ロシア財務省がFATF(Financial Action Task Force:ファトフ=金融活動作業部会)からマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与防止策に向け、規制・法整備の圧力を受けたものとみられています。
FATFによる圧力か
※画像引用元:FATF
ロシアでは、2018年5月22日に開かれた州下院議会にて支払い手段としての仮想通貨の使用を禁止するデジタル金融資産関連法案が採択されています。
モイセエフ副財務大臣は仮想通貨について、外貨のようなものであり、売買はできるが支払い手段として外貨での支払いができないのと同じであり、我々の立場からの視点で判断するつもりであると語っています。
2回目の会議で仮想通貨の定義を「デジタル操作マーク」と書き換えられており、これについてDuma金融市場委員会のアナトリー・アクサコフ(Anatoly Aksakov)議長は妥協策であると語っています。
FATF側はロシアに対して今年度中に仮想通貨流通に関する法案を通すよう勧告を出しており、ロシアは3月中旬に開かれる予定であった州議会総会では仮想通貨の定義について容認できない部分があったため、話し合いは一旦先送りされていました。
先送りした背景には、仮想通貨マイニングや仮想通貨、トークンなどの定義が省かれた法案について審議が行われ、これらについての採択は見送られていたことも明らかになっています。
ロシア国内での反応は?
今年5月末、中央銀行トップのエルヴィラ・ナビウリーナ(Elvira Nabiullina)は、規制当局は依然としてロシア国内での仮想通貨取引に反対しているが、金銭的代用でない場合、仮想通貨取引を検討する準備ができているとコメントしています。
また、前出のモイセエフ副財務大臣によると、仮想資産取引を合法としながらも、決済としては引続き取り締まる可能性もあるとコメントしています。
現在ロシア国家院は、ICOなどを合法化する法案が可決されることが発表されており、仮想通貨否定派とみられていたロシアの風向きが一気に変わった背景には、やはりFATFからの圧力が関係しているのではないかとみる動きが濃厚です。
※当サイトのFATFに関する特集記事「FATFがマネーロンダリングやテロ資金供与の新基準を発表で規制強化」もあわせてご覧ください。
強硬路線のロシアがなぜ圧力に反応したのか?
常に国際社会の場において強気の姿勢を見せ続けている印象があるロシアですが、これまで否定寄りであった仮想通貨に対する姿勢が緩和された印象を受ける背景にはやはりFATFの影響が大きい様です。
FATFはアメリカや日本、中国など主要国を含む世界37カ国が加盟しており、法的拘束力はないものの、影響力は絶大であると言われています。
FATFに対する非協力姿勢を貫くことで、国際金融社会からは距離を置かれてしまう可能性が高く、この部分にロシアは敏感に反応したのではないかとみられています。
今回のFATFによる仮想通貨規制に関しては各国でもさまざまな反応があるだけに、ロシアがはたしてどこまで妥協策を見いだせるのか、今後の動向が注目されます。
※参考サイト:Interfax