銀行を含めた多くの企業が、世界中で新たな試みに挑戦しています。
既存システムやサービスに満足することなく、国境を超えた事業を効率を高めながら手数料を抑える送金をヨーロッパで実現させています。
本日は手数料を抑えた送金を成功させたサンタンデール銀行とヨーロッパの9行が協力して成功したクロスボーダーの金融取引を紹介していきたいと思います。
フィンテック会議の壇上で語った展望が実現
サンタンデール銀行が、ブロックチェーン技術を用いて国を超えた金融取引を成功させた世界初の大手小売銀行になりました。
サンタンデール銀行は、スペインに拠点を置くスペイン最大クラスの商業銀行です。
ヨーロッパ各地に支店を持ち、アメリカやアジアへの進出も積極的に展開しており、イギリスでもサンタンデール銀行は不動の地位を獲得しています。
サンタンデール銀行のイギリスCOEを務めるNathan Bostock氏は、3月23日にロンドンで開催された国際フィンテック会議で、今後の展望を発表しました。
Bostock氏は以前からリップル社とともに、国境を超えた金融取引の開発とトライアルを行っていました。
今回のフィンテック会議の壇上で、Bostock氏はブロックチェーン技術を駆使した国際送金が成功する初めての大手小売銀行になる可能性を語っており、その展望の通り、4月12日から「ブロックチェーンでの国際送金ネットワーク」を開始しました。
驚くのは2016年に行われたトライアル時と比べると格段に精度とスピードが上がり、送信が完了するまでの完成度を高めている点です。
イギリスの利用者は、ヨーロッパや米国への送金がワン・ペイで実現し、ブラジルやポーランドから英国にお金を送ることができるようになりました。
サンタンデール銀行は、この成功だけで満足をすることはなく、今後は手数料の透明化などを含め、利用者にとってより使いやすいシステムを構築してく展望を掲げています。
欧州の銀行が参画して実現させたクロスボーダー取引
国際送金を既存のシステムを利用して送金をすると、窓口となる送金銀行、中継となる銀行、受け取る人が利用する銀行といくつもの銀行が間に入ります。
そのため、送金手数料や為替手数料、受取手数料がかかる上に、送金してから送り先に届くまでに、数日かかるのが現状です。
ときには、1週間もかかってしまう海外送金の効率化をはかるために、ブロックチェーン技術を取り入れているのは、サンタンデール銀行だけではありません。
ヨーロッパにある9つの銀行が去年の10月から開発を進めてきたシステムが、7月3日に成功したと発表がありました。
今回のプロジェクトは、IBMの「Hyperledger(ハイパーレジャー) Fabric」を基盤にしているwe.tradeを利用して、ボーダーレスの商用金融取引を実現しました。
このwe.tradeは、クロスボーダートレード(金融取引)を効率化させる事を目的に設立されています。
ブロックチェーンの技術は、仮想通貨と1対のものと思っている人もいるかもしれませんが、ブロックチェーンのもたらす恩恵は、さまざまな分野で活かされ、貢献をしています。
このHyperledgerは、ブロックチェーンの技術を最大限に活用しながら、広範囲に利用することを目的とした“推進コミュニティー”です。
we.tradeを使った5日間におけるトライアルでは、4銀行を介して10社が参加して7つの取引が無事に終わったことが、we.tradeの公式サイトにて明記されています。
世界でも知名度の高い大手銀行が協力し合いながら、実現した今回の国境を超えた送金の成功は、いくつもの手数料と時間のかかっていた銀行取引を大きく変えることになると、期待されています。
現在このサービスが使えるのは、提携銀行の口座を持つ取引に限られています。
今後はヨーロッパ各地への送金を可能にするだけではなく、世界規模の取扱にも取り組んでいく計画です。
ブロックチェーン技術の持つ可能性は、国境を超えて多くの人に想像もできなかったほどの恩恵をもたらしています。
未来を見据えて行動する人たちの挑戦が、これからの新しい世界を築き上げていくのではないでしょうか。
参考サイト:Santander