仮想通貨に否定的どころか、数々の過去の発言から、嫌悪感すら抱いているのではないかとみられてきたJPモルガンのジェイムズ・ダイモン氏が率いるJPモルガン社が、アメリカの銀行としては初となるステーブルコインを発行することが、海外メディアの報道によってわかりました。
※ジェイムズ・ダイモン氏に関する当サイトの特集記事『仮想通貨に絶大な影響力を持つ人物 JPモルガンCEOジェームズ ダイモン』もあわせてご覧ください。
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銀行初のステーブルコイン
海外メディアが報じたところによると、JPモルガン・チェース(J.P.Morgan Chase/ ※以下JPモルガンと表記)社が今月、フィアット通貨を表すデジタルコインの作成とテストに成功した米国初の銀行となったと報じました。
JPMコインは、機関口座間での即時の支払い転送を可能にするブロックチェーンベースの技術に基づいて作成され、アメリカドルに担保されたステーブルコインとして発行されます。
では、今回世界中で大きく注目されたJPMコインとは、どのようなコインなのでしょうか。
JPMコインとは?
JPモルガン社が銀行初のステーブルコインとして発行するJPMコインとは、ブロックチェーン技術を使用したデジタル通貨で、お金などの価値を交換するにはデジタル通貨が必要になっている今だから作成したとコメントを寄せています。
JPMコイン自体は“お金”ではないとしており、1JPMコイン=1米ドルの価値を持ったステーブルコインに似たコインです。
今後の予定として、JPMコインは他の主要通貨にも担保されたステーブルコインへと拡張していく予定であることを発表しています。
また、JPMコインは一般顧客向けのステーブルコインではなく、JPモルガン社のコーポレートバンキング顧客に向けて新たに提供される決済サービスに用いられる事を目的としたものであり、通貨の根幹であるブロックチェーンについては、業務提携を結んだ企業と構築したプライベートブロックチェーン“Quorum”を採用しています。
ジェームス・ダイモン氏のこれまでの発言
これまでジェームス・ダイモン氏は、仮想通貨に対してさまざまな強気な否定的発言を繰り返し行っており、同氏が仮想通貨について発言する度に世界のメディアが報じてきました。
ここで、これまでの主な発言をまとめてみました。
2014年1月に「ビットコインは価値のひどい保存先である」と発言。
そのおよそ1年後の2015年11月には「ビットコインは将来生き残れないだろう」と発言し、さらに2カ月後の2016年1月には「ビットコインなんて役に立たない。」、2017年9月には「(ビットコインに対して)良い終わり方はしない。これは詐欺であり、チューリップの球根より悪い」と発言しており、これらの発言は世界中へと一気に報じられました。
しかし、そこからさらにに1年後2017年10月には「ビットコインについてはもうなにも語らない」と、同氏らしからぬ(?)弱気発言をしており、このトーンダウンした発言が何を意味するのか?多くの関係者が動向を見守っていました。
強気な否定発言から一転し、肯定姿勢へ
今回JPMコインが発行されることが正式に発表されると、同時にJPモルガンの公式な姿勢も公表されました。
JPモルガンはブロックチェーン技術の可能性を信じており、それらが適切に制御と規制がされている限り、仮想通貨を支持します。世界の銀行として規制当局の監督の下で責任ある方法で能力を開発する機会があると信じています。
※引用元サイト:J.P.Morgan
JPMコインのメリットとは
JPモルガン公式サイトを見てみると
JPMコインは、顧客の取引相手や決済リスク・必要資本を減らし、即時の価値移転を可能にすることで、ブロックチェーンアプリケーションに大きなメリットをもたらすことができると考えています。
と記載されています。
一昨年10月にトーンダウン発言をしたその裏には、顧客らからの仮想通貨取扱いに対する問い合わせや要望が多くあがっていた事が当時より分かっており、時代の波には逆らえなかったという事なのでしょうか。
今回のコインは顧客向けとなっているものの、今後、独自のコインが発行されるのかについても期待したいところですね。