CEOのジェームス・ダイモン氏による仮想通貨否定寄りの発言が昨年まで大きく注目されていたJPモルガンですが、今年に入って仮想通貨の根幹技術であるブロックチェーン技術を使って様々な企業展開をはかっています。
JPモルガンが特許申請
※画像引用元:US PATENT&TRADEMARK OFFICE
アメリカ合衆国ニューヨーク州に本社構えるメガバンクのJPモルガン(JPMorgan Chase & Co.)が、自動車ディーラーが借りたローン処理や管理のためにイーサリアムベースのブロックチェーン技術を使用した分散型LEDGERベースのフロープランニングのためのシステムに関する申請をした事が分かりました。
※当サイトのJPモルガンに関する特集記事「JPモルガンETHベースでドバイ不動産企業のトークンをローンチを目指す」、「JPモルガンが銀行初のステーブルコインJPMコインの発行へ!」もあわせてご覧ください。
JPモルガンのホールセールカーファイナンス部門によって提出した特許は、分散型台帳ベースのフロアプランニングのシステムと方法が開示されています。
銀行はフロアプラン貸付の分散型台帳バージョンの開発に関心を示していることから、カーディーラーが在庫に対して借り入れるための回転信用枠(リボルビングローン)を提供します。
JPモルガンは、イーサリアムベースのブロックチェーンであるクオラム(Quorum)を使用するパイロットプロジェクトを開始し、現在はさまざまな自動車販売店で実証テストが実施されています。
実証テストの実施形態について
DLTベースのフロアプランニングのためのシステムおよび方法が開示されており、実証テストの実施形態によれば、少なくともコンピューター1台と、分散台帳システムを備える情報処理装置を使って、DLT(Distributed Ledger Technology=分散型台帳技術)ベースのフロアプランニングを行っているという。
その方法として、分散台帳システムにて、追跡可能なリソースの識別子を受信することや追跡可能なリソース分散元帳を使った追跡可能なリソースデータ更新情報の受信、分散元帳へ更新情報の書き込み、リソースデータの更新に基づくスマートコントラクトの実行をするとしています。
同システムは、ディーラーフロアにある車の在庫を確認する方法として、アメリカ国内の各自動車に割り当てられたVIN(Vehicle Identification Number=車両識別番号)やシリアル番号を使用し、銀行側はリスク管理の改善に加え、DLTベースのシステムが「二重床」として知られる慣行を防止することを望んでいるという。
なお、車両からのハードウエアまたはソフトウエアからの走行距離、位置などの車両ステータス情報については、フロアプランニングプロセスを合理化し、時間とコストを削減するために貸し手によって使用されます。
さらに取引相手側は、DLTリアルタイム情報にアクセスして、リソースステータスを調整し、信用枠を更新したうえで在庫を出荷できるとのこと。
今回導入されているDLTシステムは、リアルタイムリスク管理の方法を大幅に強化するほか、「ダブルフローリング(二重床)」と言われる慣行を防止設計されており、ディーラーが1つの車両に対して1つのフロアプラン契約の担保として誓約するものを、別の銀行とのフロアプラン契約のために同じ車両を誓約する事を防ぐ様に設計されているという。
クオラム(Quorum)とは?
イーサリアム基盤を元に構築されたクォーラムは、パブリックイーサリアムコミュニティの革新と企業のニーズをサポートする拡張機能を組み合わせたオープンソースブロックチェーンプラットフォームです。
ブロックチェーンの採用をシームレスなプロセスにすることを使命に、単なるプラットフォームではなく、フルサービスのサポートを提供する画期的なプラットフォームとして誕生しています。
昨年4月に、元クオラム開発スタッフによって仮想通貨のジーキャッシュ(Zcash)と協力し、ゼロ知識証明(ZKRP)の手法を採用しており、今年5月に新スタッフらによって再構築されています。
※参考サイト:US PATENT&TRADEMARK OFFICE