今月22日に金融庁から業務改善命令を受けた仮想通貨取引所6箇所のうち、最大手のビットフライヤーに対する処分が一番重いと言われています。
この処分を厳重に受け止めているビットフライヤーが、今後、取らざるおえない可能性のある責任のとり方をコインチェックの事例とともに、昨日に引き続き考えてみたいと思います。
業務改善命令を受けたコインチェックの決断
1月に始まった仮想通貨NEMの流出から始まり、コインチェックは金融庁から2回に渡る業務改善命令を受けました。
1回目の業務改善命令では、仮想通貨流出の原因追求や顧客への真摯な対応と、経営管理体制への強化と責任者の明確化などが書かれていました。
そして、2度目の業務改善命令では
・抜本的な経営体制の見直し
・経営計画を見直し、利用者の保護
・取締役会での会社体勢の見直し
など、1度目の業務改善命令よりもさらに厳しい内容が明記されました。
結果として、4月16日付でコインチェックは、マネックスの子会社になることが決定します。
ネット証券会社として大手と言われているマネックスは、もともと仮想通貨事業に関心を持っていたとも言われており、今回コインチェックが傘下に入ることは、お互いにとって渡りに船とも言える一面があったのかもしれません。
ただし、コインチェックをそのまま子会社化することは、金融庁が下した2回目の業務改善命令から背くことになってしまいます。
そのため、コインチェックの社長である和田晃一良氏と創業者のひとりである大塚雄介氏の2人は、取締役から退任させる形となりました。
代わりに、マネックスグループの勝屋俊彦氏が新しい社長に就任し、和田氏と大塚氏は、執行役員として就任し、「業界の発展と顧客の資産の保護」に邁進していくと今後を語っています。
ビットフライヤーに求められる経営管理態勢の抜本的な見直し
金融庁から業務改善命令が出てすぐに、ビットフライヤーの社長である、加納祐三氏は、「処分を真摯に受け止め、改善に全力を尽くす」と表明をし、すぐに新規顧客からの申込みを停止する異例の判断をしました。
また、加納氏が副会長を務める日本仮想通貨交換業協会に対しては辞表届けを今月25日に提出しています。
4月22日付で金融庁から業務改善命令を受けたのは、ビットフライヤーだけではありません。
だた、他の交換業社と比べると項目が多いだけではなく、一番最初の改善項目に「経営管理体制の抜本的な見直し」と書かれているところが、他の交換業社と明らかな違いです。
今回の業務改善命令よりも前に、2回の金融庁からの改善を求められたコインチェックへの改善内容にも経営体制の抜本的な見直しが記載されていましたが、これらは経営陣の一掃をも意味していると考えられ、現在の経営陣を総入れ替えする事を意味しています。
コインチェックは金融庁に正式に許可を受けた交換業社ではなく、みなし業者ではあったものの、業務改善命令を改善していくという視点ではビットフライヤーとの大差はありません。
そして、コインチェックはマネックスグループに加わり経営を立て直したものの、取締役2人は、退任することは避けられませんでした。
コインチェックの一連の結果を踏まえるなら、ビットフライヤーにも新規顧客の停止と日本仮想通貨交換業協会からの辞職以上の抜本的改革を決断しなくてはならないと捉えるべきだとの専門家の意見もあります。
金融庁が登録業者に対して厳格な処分を下し、仮想通貨業界全体の体質にも抜本的な改革を求める姿勢であることがうかがえます。
ビットフライヤーがもともと持つ身内体制が、社内における牽制機能を阻害する原因になると指摘されています。
ビットフライヤーだけではなく、今回の処分を受けた6社は7月23日までに業務改善計画と進行状況などの報告を月に1度提出することになっています。
金融庁が下す判断や審判も大切ですが、私たち利用者側も常に公正な判断力と決断力が求められる時期に差し掛かったのではないでしょうか。