ペソを法定通貨とする国、アルゼンチンでは政治情勢の不安定が要因となり、昨年末より国内に仮想通貨ATMが急増するなどの現象がみられていました。資産を守るべくさまざまな道を模索する中、多くの国民が仮想通貨、とりわけビットコインへ関心を寄せています。
アルゼンチンペソ暴落でビットコインが暴騰
※画像引用元:CoinDance「Weekly LocalBitcoins Volume(Argentine Peso)」
今月11日に投開票された大統領予備選挙で“型破りな政策”で知られるマクリ大統領が大敗したことが転換期となり、アルゼンチンの法定通貨ペソや株価などアルゼンチン国内の金融市場では軒並み2桁台の急落を見せています。
※当サイトのアルゼンチンに関連する特集記事「ビットコイン急騰の背景にはアルゼンチンの大統領選リスク回避が!?」もあわせてご覧ください。
大統領選挙本番は今年10月27日に行われることから、当面アルゼンチン国内では景気悪化が回復する見込みが少ないとの見方が大半です。
その理由として、国民の意に沿わない年金増額などが発端と言われている中、国民らは資産を守るための逃避先としてビットコインに注目し続けた結果、先日60万ペソを突破し、過去最高価格の記録を更新しました。
現在アルゼンチンペソは1ドルあたり先週末と比べ25%の暴落をみせ、1日の下落幅としてはトルコショックを超える暴落ぶりを記録したと市場関係者は語っています。
株価にかんしても大幅な下落が見られており、国内金融市場は悪化の一途をたどっています。
資産逃避先はビットコインか
アルゼンチン国内での仮想通貨認知度は低いと言われており、市場規模も縮小されつつある状況ですが、そのような状況の中でも資産の逃避先として国民はビットコインを選んでいるのではないかと海外メディアが報じています。
また、仮想通貨投資会社モルガン・クリーク・デジタル(Morgan Creek Digital)創業者のアンソニー・ポンプリアーノ(Anthony Pompliano)氏は
※画像引用元:pomp公式Twitter
警戒:アルゼンチンペソは崩壊しています。 今日、米ドルに対してすでに25%下落しています。これは、通貨危機にさらされる最初の通貨になるのでしょうか?
と、公式Twitterでツイートを発信しています。
中国では米中貿易戦争の影響を受けなかったビットコイン価格
アルゼンチンで資産の逃避先がビットコインに選ばれ、価格が高騰している一方で、中国では現在資産の逃避先としては見ていないとメディアが報じています。
9月に再協議されるのではとみられていた米中の貿易対立に関連し、今月13日、ドナルド・トランプ大統領は、中国からの輸入品に対し9月1日に発動予定の追加関税にたいして12月15日まで延期することが発表され、これに反発する形で外国為替、株式などが下落しています。
しかしその一方で、中国はすでに独自デジタル通貨発行の準備が整ったことを発表し、これによる期待感からか、米中貿易摩擦による資産回避先としてはビットコインを見ていないという市場関係者の声も報じられています。
※当サイトの中国の独自通貨発行関連記事「Libraに対抗するべく中国政府が独自仮想通貨の準備をすでに整えていた」もあわせてご覧ください。
今回のアメリカからの再協議日程が延期された事により、市場関係者からは“通貨戦争”の長期化が指摘されています。
このような中、ビットコイン相場は12,000ドルの水準へとトライするものの、最終的には11,000ドルに値を下げています。
一旦は中国のビットコイン市場は強気相場に転じるのではないかとみられていたものの、やや先走り間の強い投資家らが買い走った結果、12,000ドル超え目前でしたが、香港のデモ隊による空港占拠などの影響を少なからず受けたのではないかとみられています。
アルゼンチンペソ崩壊通貨危機、中国とアメリカの貿易戦争、この両者ともに、今後仮想通貨全体の価格へどの程度影響を与える結果につながるのか、もうしばらく静観するしかなさそうです。