政府が15日、仮想通貨交換業者に対しての規制強化を盛り込んだ金融商品取引法と、資金決済法の改正案が閣議決定しました。これにともない、これまで「仮想通貨」と呼ばれていた呼称は「暗号資産」と変更されたほか、顧客資産の不正流出などに備えた資産確保義務などが盛り込まれました。
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改正案閣議決定により仮想通貨から暗号資産へ呼称変更
日本政府は昨日15日、熱望されていた仮想通貨交換業者に対しての規制強化などを盛り込んだ金商法(正式名称:金融商品取引法)と、資金決済法の改正案の閣議決定が行われ、金融庁は記者を対象に新改正案の説明会を実施しました。
今回の改正により、金融庁で設置された「仮想通貨交換業等に関する研究会」で提出された報告書を基にして行われ、今国会での提出が予定されています。
同研究会では、昨年立て続けに発生した仮想通貨不正流出事件を受け、利用者保護や取引および取扱いルールの明確化などを盛り込む構えです。
※「仮想通貨交換業等に関する研究会」については金融庁の公式サイトをご覧ください。
現在の呼称である仮想通貨を暗号資産へ変更
今回の改正案で注目したいのが仮想通貨や暗号通貨と呼ばれている現在の呼称です。
現在G20 の20カ国および地域での会議などでは仮想通貨の呼称が統一されており、日本でも各国に足並みをそろえ、「暗号資産」に変更することが盛り込まれています。
また、現在「仮想通貨交換業者」と呼ばれている呼称についても同様に「暗号資産交換業者」と変更するとしています。
ただし、この呼称変更に関してはあくまでも法律上の呼称変更であり、交換業者や取扱業者が暗号資産と呼称変更する義務は伴っていません。
仮想通貨交換業等に関する研究会では、日本が改正資金決済法を制定し、世界の先駆けとなりましたが、一昨年の仮想通貨暴騰によって状況は変わってしまいました。
グローバル社会で国境のない“ボーダレス通貨”としての期待とは大きく外れたことも遠因となり、仮想通貨に対して“通貨”はいかがなものか?という機運が高まり、今回の呼称変更へとつながりました。
なお、現総理大臣である安倍晋三総理大臣も先月、仮想通貨ではなく「暗号資産」と呼んでいくことを公にしています。
仮想通貨流出リスクの対応
当サイトで昨日特集したモナコイン不正流出事件は、全国初の摘発となった事で驚きましたが、それ以上に衝撃を与えたのが、犯行は18歳の男子学生によって行われたという点ではないでしょうか。
※モナコイン不正流出事件については、当サイト『仮想通貨モナコイン1,500万円相当を不正流出させた18歳の少年を書類送検』をご覧ください。
犯人が18歳だった事も衝撃でしたが、仮想通貨に関しては、国内で発生したマウントゴックス社事件にはじまり、Coincheckの仮想通貨大量流出事件など、世界へも大きな衝撃を与えました。
仮想通貨市場で相次ぐ不正流出事件を受け、流出リスクを軽減させるための何らかの対応や規制が求められていました。
これらを受け、インターネットにつながった状態で保管されるホットウォレットに対して今後上限を検討するほかオフラインで保管されるコールドウォレットの義務付けを法律によって定める方針です。
さらに、リスク軽減のため弁済原資の確保を義務付けるほか、仮想通貨取扱業者が倒産した場合には顧客へ優先的に返済するルールを整備する予定です
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改正案でICOの規制にも言及
新規に発行されるトークンを使って資金調達するICO(Initial Coin Offering/イニシャル・コイン・オファリング)について、ICOを騙った詐欺案件などが世界中で多発している事を受け、改正案ではICOについても言及しています。
改正案ではICOによって収益分配が見込まれる“投資”と判断されるICOについて、今後金融商品取引規制対象になることが明確化され、投資家への情報開示、販売および勧誘についての規制などが整備されます。
商品販売とみなされるICOについては金融規制を実施するほか、支払いや決済手段のICOとみなされる場合には決済に関して規制を掛けるなど、ICOの各形態に合わせた規制が今後は行われていきます。
今回の改正を皮切りに、私たち一般ユーザーが安心して取引できる環境整備がどんどん進められていきそうです。