ビットコインなどで採用されているコンセンサスプロトコルには“ナカモトコンセンサス(Nakamoto Consensus)”と呼ばれる仕組みを導入していますが、このコンセンサスプロトコルとはどのよなものなのか。ここでは入門者・初心者に向け、コンセンサスプロトコルについて解説します。
コンセンサスプロトコルとは
ブロックチェーン技術の分散型の根底にあるのはコンセンサスプロトコルです。
ではこのコンセンサスプロトコルとはどのような技術なのか。
コンセンサス=合意、プロトコル=手順で、簡潔に説明するとネットワークが動作するための合意手順、つまり合意のためのルールにあたります。
ブロックチェーンor分散台帳技術は、ネットワーク上のトランザクション(取引)を検証することを目的とするノード(※1)というものにに分散されています。
(※1) ノードとは…
通信ネットワークにおける節点であり、仮想通貨ではネットワークにつながった状態のルーターやコンピューター機器などのデータ回線終端装置などを指し、エンドポイントや再配布ポイントを言います。
これらのルールは、基本的にコンセンサスプロトコルとして知られており、トランザクションを検証し、ネットワーク内を安全に保つ働きを担っています。
もともとはブロックチェーンが最初に作成される前に設定されていた技術ですが、イーサリアムなどの一部ネットワークでは、ネットワーク稼働中に動作するコンセンサスプロトコルへと仕様変更させて導入しています。
ちなみに…コンセンサスプロトコルという名称ですが、分散型合意システム、合意プロトコルなど、ほかにもいくつかの呼び方があり、統一されていないほか、使い分けなど明確な呼び方は今のところ不明確(不明瞭)のようです。
コンセンサスプロトコルはどのように機能するのか
ブロックチェーンネットワークの中心にあるコンセンサスプロトコルは、トランザクションが正しく行われたかどうかを確認するため、ブロックチェーンのレコードに追加するデータのレビューと確認の方法を提供しています。
ビットコインなど、多くの仮想通貨で使用されているブロックチェーンネットワークでは、誰が正しいかor誰が間違っているかを決定する中央権限(中央管理者)は存在しないため、ノードはすべて事前に定義されているルールやプロトコルに従って、ネットワークの状態に同意しなければなりません。
ビットコインのコンセンサスプロトコルはPoW(Proof-of work)ですが、このPoWは各トランザクションを確認するブロックマイニングプロセスにあたります。
他の合意プロトコルには、イーサリアム(Ethereum/通貨コード:ETH)に実装されているPoS(Proof-of-Stake)や、PoSの問題点を解決し、ネム(NEM?通貨コード:XEM)に実装されているPoI(Proof of Importance)があります。
その他のコンセンサスプロトコルは以下のようなものがあります。
・DPoS(Delegated Proof of Stake) ⇒ ビットシェアーズ(Bitshares/通貨コードBTS)に実装
・PoC(Proof of Consensus) ⇒ リップル(Ripple/通貨コード:XRP)
・PoST(Proof of Stake-Time) ⇒ ヴェリコイン(Vericoin/通貨コード:VRC)二実装
・PoMAS(Proof of Minimum Aged Stake)
・PoA(Proof-of-Authority)
※当サイトのコンセンサスプロトコルに関する特集記事「仮想通貨の取引認証アルゴリズムPoW、PoI、PoS、PoCの違いを改めて学ぶ1」、「仮想通貨の取引認証アルゴリズムPoW、PoI、PoS、PoCの違いを改めて学ぶ2」、「イーサリアムが目指すProgPoW後のPoSが非中央集権社会と地球環境を守る」もあわせてご覧ください。
コンセンサスプロトコルがもたらす未来
コンセンサスプロトコルは、すべてのブロックチェーンテクノロジーと同様に、分散ネットワークがもたらすさまざまな課題に対処するために開発・進化し続けています。
今現在使用されているコンセンサスプロトコルには完璧なものはなく、各プロトコルごとに良い面とマイナス面が存在しています。
たとえば…
ビットコインで使用されているPoWは、大量のコンピューター処理能力と膨大な電力を使用するため、トランザクションの整合性を確かめるためにはある程度の長い時間が必要のため、日常の使用には向いていません。
このような問題を解決するために、ライトニングネットワークなどのビットコインの上に構築されたソリューション(問題解決策)があります。
※当サイトのライトニングネットワークに関する特集記事「いまさら聞けない!ライトニングネットワークとは?入門者へ解説1」、「いまさら聞けない!ライトニングネットワークとは?入門者へ解説2」もあわせてご覧ください。
ブロックチェーンコミュニティの中心では、どのコンセンサスプロトコルが最もスムーズな運営をつづけられるのかについて、常に議論が行われています。
しかし、どのコンセンサスプロトコルにも一長一短があり、今後もこの議論はしばらくの間続いていくだろうと予想されています。