当サイトでは、イーサリアムが実行しているハードフォークについて過去の記事で紹介していますが、ハードフォークの折り返し地点を越えた頃から計画の延期が続いています。ユーザーの利便性を高め非中央集権化を目指すイーサリアムのハードフォークが延期される理由と、新たに見つかったリエントリー攻撃について紹介します。イーサリアムを保有している人にとっても気になる話題かと思いますので、状況を把握しながら、今後の対応にも注視していきましょう。
※当サイトの特集記事『来年完結!イーサリアムのハードフォークは仮想通貨に何をもたらす?』もあわせてご覧ください
原因はバグとリエントリー攻撃?延期されるコンスタンティノープル
イーサリアムは、4第階に分かれているハードフォークのファーストステップとして『フロンティア』を2015年7月に完了させました。
第2段階目にあたる『ホームステッド』を2016年3月に、3段階目『メトロポリス』の前半部分『ビザンチウム』のアップデートを2017年9月に完結しました。
誕生当初から予定されてきたアップデートのためのハードフォークは計画通りに進められてきましたが、メトロポリスの後半部分『コンスタンティノープル』の実装予定が2018年10月から、重なる延期が続いています。
バグによる度重なるハードフォークの延期
コンスタンティノープルが完了した後に、最終段階になる『セレニティ』の装備で、イーサリアムのハードフォークが完全に実現します。
イーサリアムを所有している人たちのなかには、イーサリアムがハードフォークをしていることで不安に感じられる人もいるでしょう。
時にハードフォークは別の通貨を生み出したり、コミュニティが分裂したりすることもありますが、今回のイーサリアムが実行しているハードフォークは全て計画されたもので、より有益なシステムを作るためのステップとされています。
ハードフォーク自体は延期が続いていますが、開発が滞っているのではなく、新たな改善点などが見つかり、実装後に問題を発生させないための対策を万全にしているためです。
10月に完了予定のコンスタンティノープルが11月に延び、2018年内には実装される可能性もありましたが、年明けに延びたアップデートも1月16日に延期が発表されました。
2018年に相次いだ延期は、新しいシステムを導入することで発生したバグが原因とされてきました。
1月のハードフォーク計画が延期されたのは、リエントリー攻撃に対応するためと言われ、コンスタンティノープルの実装予定日は未定の状態です。
懸念されるリエントリー攻撃とは?
リエントリー攻撃が可能になると、あるユーザーがハッキングにより同じ送金を何度も繰り返せるようになります。
コンスタンティノープルを実装しなくても、イーサリアム内でのリエントリー攻撃の可能性はありました。
それでも、取引手数料にあたる『ガス』が2300以下の場合に限定され、通常の取引ではガスが5000以下になることはなかったため、リエントリー攻撃の心配はありませんでした。
イーサリアムが設定しているガス料金は決して高くはなく、ユーザー目線に考えられた金額でしたが、今回のハードフォークで、よりユーザーにとって取引しやすいシステムを目指すために、ガスを300に引き下げる『ELP-128』を導入予定でした。
コンスタンティノープルによりELP-128が発動すると、5000かかっていたガスが300になり、リエントリー攻撃を受ける可能性があることがChainSecurityによって公になりました。
スマートコントラクトの監査団体であるChainSecurityがブログで、イーサリアムのアップデートによるリエントリー攻撃の可能性を指摘しました。
このことを受け、1月17日に予定されていたハードフォークの延期が決定されました。
度重なる延期により、イーサリアムの価格は他の通貨と比較をして下落を見せましたが、イーサリアムの中心開発者たちは直ちに電話会議により今後の対策を打ち出しています。
ChainSecurityはリエントリー攻撃を受ける可能性はイーサリアムだけの問題ではなく、他のシステムでも発生する心配があるとしています。
対等なユーザー同士のつながりを重視し、非中央集権を掲げるイーサリアムの今後の動きに注目していきましょう。