ビットコインはブロックチェーンなくして成り立たないと言われるほど、仮想通貨とビットコインは密接なつながりがあると言われています。最近では仮想通貨のグレーな部分がクローズアップされる度に、仮想通貨そのものより、改ざんできないブロックチェーンへとの風向きが感じられています。そんな中、バーバード大学の暗号学者がブロックチェーンに価値がないと発言した事が、海外メディアによって大きく報じられました。
ブロックチェーンには価値がなかった!?
2012年にセキュリティ技術について書かれた『Liars and Outliers』を執筆したことでも知られる暗号学者(暗号技術者)であるアメリカハーバード大学ケネディスクール教授のブルース・シュナイアー(Bruce Schneier)教授の発言が海外メディアで報じられています。
同氏は、2008年に初めてビットコインが登場した際のホワイトペーパーの中で、匿名の人物と称されるサトシ・ナカモト氏は信頼に頼ることなく電子取引を行うためのシステムを構築したと語っています。
しかし実際には“信頼”を必要とする部分が大きく、ビットコインそのものを信頼しなければならないと述べています。
ブロックチェーンを分析した結果
ブロックチェーンについてはビットコインのホワイトペーパーの中でも、“信頼”を必要としない理由について多くのことが書かれています。
ブロックチェーンとは非常に具体的なものを意味しており、パブリックブロックチェーンを構成するデータ構造とプロトコルを意味していますが、ブロックチェーンと信頼の両方を分析すると、価値以上の誇大宣伝であることがすぐにわかると述べています。
特徴その1
一元管理され、発生と順序が記録されており、パブリック公開されているため誰でも読むことができ、誰もが変更できないもの。
特徴その2
合意アルゴリズムは元帳のすべてのコピーが同じであることを確認するマイニングが行われるため、コンセンサスアルゴリズムの中の特定のノードを信頼する必要がありません。
マイニングはデータストレージとその維持に必要なエネルギーの両方で高額な必要なため、ビットコインはこれまでにない最も高価な合意アルゴリズムを持っています。
特徴その3
利用者のインセンティブ調整のために必要なのが通貨で、仮想通貨はネットワーク上で取引されて価値を持ち、トランザクションは元帳に保管されていきます。
プライベートブロックチェーンは全く面白くない
ブロックチェーンとその機能を操作できる人は外部的な制限があります。
コンセンサスプロトコルは、60年以上にわたって分散システムで研究されてきた名前だけのブロックチェーンであり、これを操作する唯一の理由はブロックチェーンの誇大宣伝に乗ることだとしています。
多くのブロックチェーン愛好家は、「コードでは信頼できる」、「数学では信頼できる」、「暗号では信頼できる」といった具合で不自然に狭い信頼の定義を持っていますが、検証は信頼と同じではありません。
シュナイアー氏が執筆した著書では“信頼”についての必要な要素は
・道徳
・評判
・制度
・セキュリティシステム
以上の4つの要素が揃って初めて信頼へとつながると述べています。
ブロックチェーンが行うことは、人や機関への信頼の一部を技術への信頼に変え、仮想通貨はプロトコルやソフトウエアをはじめ、コンピューター、そしてネットワークを信頼する必要があります。
あなたのビットコイン交換がハッキングされた場合、あなたはあなたのお金の全てを失います。
あなたのビットコインウォレットがハッキングされた場合、あなたはあなたのお金をすべて失います。
あなたがログイン資格情報を忘れるならば、あなたはあなたのお金の全てを失います。
スマート契約のコードにバグがあると、お金をすべて失います。
誰かがブロックチェーンのセキュリティをハッキングすることに成功すると、あなたはあなたのお金の全てを失います。
と同氏は語っています。
ブロックチェーンへの誤った信頼は、それ自体がセキュリティリスクになる可能性があり、正直なところ、暗号通貨は役に立たず、迅速な富を求める投機家、政治的な要因が複雑に絡み合った法定通貨を好まない人々、闇市場でお金を交換する方法を望んでいる犯罪者によってのみ使用されています。
ブロックチェーンが必要かどうか?まずはブロックチェーンをまったく使用しなかった場合、システムはどのように見えるでしょうか。
最後に同氏は、それでもパブリックブロックチェーンが必要なのかと問われると、答えはほぼ確実にノーだと答えています。そして
ブロックチェーンはおそらく解決できるであろうと考えられているセキュリティ問題を解決しないでしょうと語っています。
※参考元サイト:WIRED